
約291億円の違約金を支払ってバルセロナからネイマールを獲得したパリSGですが、今夏の補強はまだ終わっていなかったようです。『モナコのフランス代表FWキリアム・ムバッペがパリSGへの加入で合意した』という衝撃的なニュースをスペイン紙の『マルカ』が10日付の記事で大々的に報道しました。
『マルカ』の報道によると、『不可能が現実となった。モナコとPSGは今や必要書類の手続きを進め、ほぼ契約を完了させている。完全なる合意が存在し、もはや引き返すことのできない段階だ。弁護士による了解を得た後、ムバッペは契約書にサインする。移籍金はボーナスを含め、総額230億円。ムバッペがパリ・サンジェルマンのプレイヤーになり、この物語は完結する』とのこと。
このニュースを読んだ最初の感想は、『な… 何を言っているのか わからねーと思うが…』という某キャラクターのセリフでした。(笑)
512億あれば出来ること
ネイマールが移籍したときには約291億円で出来ることというまとめが挙がっていましたが、512億円あればどんな事ができるのでしょうか。
・ガンバのホームである市立吹田スタジアムを3つ作ってもお釣りが貰える
ガンバ大阪がホームで使用している吹田スタジアムは、スタジアム建設募金団体が3万人以上の個人、700社以上の企業から集めた募金と、スポーツ振興くじ(toto)の助成金などを総額140億円を費やして建設したスタジアムです。単純にこのスタジアムを3つ作っても、92億円が余ります。
・埼玉スタジアムと同じものを作ることが出来る
収容人員約64,000人を誇る日本最大級のスタジアムである埼玉スタジアムの建設費は約356億円です。あの大きな規模のスタジアムを作ってもお釣りがくるのが恐ろしいですね。
・フィオレンティーナの買収ができる
イタリアセリエAに所属しているフィオレンティーナですが、オーナーであるファッションブランド『トッズ』がクラブを売りに出すと発表しています。買収に名乗りを上げているのが、世界最大級の投資銀行『ゴールドマン・サックス』で、金額は約313億円になるのではないかといわれています。クラブを買収してから、残った199億円でトッププレーヤーを4~5人は最低でも補強できますね。
512億円あれば、資産価値が1,000億円を超えるような一握りのチームを除き、ほとんどのチームを買うことができますね。
ファイナンシャルフェアプレーの存在意義はあるのか?
パリSGはネイマール獲得に約291億円という費用が掛かっていました。そこへ更に230億円という費用が加わりますので、パリSGは512億円というとてつもない金額の収入が入らなければ2017-18シーズンは大幅な赤字となってしまいます。
UEFAが独自に定めたルールでファイナンシャルフェアプレー(以下 FFP)という赤字経営を禁止するルールが制定されています。欧州リーグの1つであるリーグアンに加入しているパリSGも当然このルールを遵守する必要があります。
FFPでは、『移籍金、人件費などの経費は、クラブが純粋に得たサッカーによる営業利益(選手売却による移籍金、スタジアム入場料、テレビ放映権、各大会賞金、グッズ収入、スポンサー収入)を超えてはならない』と規定されています。
要するにお金持ちのオーナーがポケットマネーを出して選手を補強することは禁止ということです。
FFPはクラブ経営の健全化を目的に導入されたルールですが、抜け道も存在しています。
営業利益の中にはスポンサー収入が含まれていますが、これが曲者です。なぜ曲者かというと、オーナーの息が掛かった企業と大口のスポンサー契約を結び、必要なお金を確保するということが出来てしまうためです。
パリSGのオーナーは個人ではなく、カタールの政府系投資ファンドであるQSI(カタール・スポーツ・インヴェストメンツ)です。政府系の投資ファンドなので、実質はカタールという国がオーナーを務めているようなものです。そのため、高額なお金が必要となった場合は、獲得資金をスポンサー契約という形で簡単に拠出することができるわけです。
さて、上記に示したようにFFPには抜け道が存在しているため、お金にモノをいわせるクラブを止める効力がないということは明らかです。このグレーの部分を対策しない限り、ルールの存在意義は無いと言わざるを得ません。
この一連の移籍を受けて、UEFAが何の対応も取らないようなら、狂った移籍市場が正常化されることはないでしょう。
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